地域メデイア「めぐりと」の取材を受けました。

サーフィンにハマり大手企業を退職した後、サーファーに愛されるお店を20年以上経営している菊地信次さん

「好きな時間にサーフィンをやるために、トヨタ車体を辞めたんだよ」と笑顔で語るのは、愛知県刈谷市でサーフショップ「ノーレッジボードチョイス」を経営する、菊地信次さん。

 

お客さんの悩みや要望に寄り添う接客で、サーフィン歴を問わずお客さんが絶えません。 菊地さんは高校時代に、愛媛県代表としてサッカーで全国大会に出場。そして自動車業界大手のトヨタ車体にスカウトされ、働きながらサッカーを続けていました。

 

そんなサッカーが大好きだった菊地さんが、どうやって地元のサーファーに愛されるサーフショップを作ってきたのでしょうか。

 

菊地さんの仕事内容は主に、サーフグッズの販売や自身が主催するサーフィンスクールでの指導です。また日本サーフィン連盟(NSA)での活動に加え、自身が競技選手として大会にも出場しています。

 

菊地さんがサーフショップを始めたきっかけや、大事にしていることを伺うと、20年以上も人気のショップを経営している理由がわかりました。

27歳の時。毎年恒例となったカリフォルニアトリップで、アメリカのプロサーファー、ケリー・スレーターとの写真。ローワーズにて。

プロサッカー選手になる夢を諦め、サーフィンを始める

菊地さんがサーフィンを始めたきっかけは、CMや映画でキムタクや真木蔵人がサーフィンをやっている姿に憧れを抱いたからです。サーフィンをやりたいと思っていた時に、オーストラリア旅行に行った菊地さんの母親が、お土産でボディボードを買ってきました。最初はボディボードを使って海で遊ぶようになり、次第にサーフィンを始めることになります。 

 

「当時は20歳でした。怪我でサッカーを諦めていた時です。プロを目指してサッカーをやっていたので、熱中できるものがなくなってしまいました。かっこいい俳優のようにサーフボードで波に乗ることを夢に見ていたので、ボディボードではなくサーフィンを始めましたね」

 

菊地さんと一緒に、サーフィンを始めた仲間がいました。しかし仲間の中でも特に菊地さんはサーフィンにハマり、違う仲間を作ってサーフィンに行く頻度を増やしていきます。

 

「真剣に取り組んでいたので、毎週末だけでなく仕事の夜勤明けでもサーフィンに行きました。また仕事の休憩時間中は、波に乗ってサーフボードの上に立つテイクオフの練習をしていたぐらい、ハマりました(笑)テイクオフの練習は、サーフボードなしで陸でもできますから。また、毎日サーフィンのイメトレもしていましたね」

21歳の時、カリフォルニアで撮影した写真

サーフィンにハマり、始めて1年足らずでカリフォルニアへ修行に

菊地さんがサーフィンにどっぷりハマったきっかけは「サーフィンが難しいスポーツだから」といいます。サーフィンは簡単で楽しそうに見えますが、なかなか波に乗れません。初めは波に乗るどころか、大きな波に飲み込まれてしまい、サーフボードを持って沖に出るだけでも疲弊します。さらに自然が相手なので、同じ波は2度ときません。「難しい」ということが、サーフィンへの熱を上げる要素になりました。

 

「私はのめり込みすぎるタイプです。サーフィンを初めて1年経たずして、サーフィンをするために1ヶ月間もカリフォルニアへ行きました。その時はサーフィンが上手くなりたい一心で、残っていた有給を全て使い切る決断をしたのです。日本で仲良くしていたアメ車屋さんがカリフォルニア行きを勧めてくれたので、カリフォルニアでは現地の車屋さんにお世話になっていました」

 

菊地さんは販売する車を洗車しながらサーフィンをする毎日で、サーフィンのレベルは間違いなく上がったと言います。またサーフィン以外のカルチャーも学び、菊地さんの人生でターニングポイントとなった出来事です。

菊地さんが厳選した商品が店内に並ぶ

もっとサーフィンをやるために、自分でショップ経営を決意

菊地さんがサーフショップを始めたきっかけは「自分の好きな時間にサーフィンをして、世の中にもっとサーフィンを広めたい」と思ったからです。カリフォルニアでの経験も経て、サーフィンへの気持ちがより大きくなりました。勤めていたトヨタ車体での仕事があると時間に制限がかかり、好きな時にサーフィンができません。よって自分が社長になれば、毎日サーフィンができる環境が整うと考えたのです。

 

「とにかくサーフィンが大好きなので、もっとサーフィンをやるには、時間に自由が効く自営業しかないと思いました。さらにサーフィンを通じて、自然にも優しくなれました。自分がサーフィンをできているのは、豊かな自然があるおかげですからね。私がサーフショップを経営すれば、会社に勤めている時よりもサーフィンができるようになります。さらに、自然の素晴らしさを教えてくれたサーフィンを、自分の手で普及できると思いました」

 

サーフィンへの気持ちが抑えきれず、25歳の時に菊地さんはトヨタ車体を退社。その後1年間、ショップをオープンさせるために勉強をしたり、サーフィンをしたりしました。そして26歳の誕生日にお世話になっていたアメ車屋さんの一角で、雇われ店長としてお店を立ち上げます。そこから2年半、雇われ店長をしながら経営のノウハウを蓄積しました。

 

そして28歳の時に、自分のサーフショップである「ノーレッジボードチョイス」をオープンしたのです。

菊地さんが取得した資格の数々

不安がなくなるまで勉強し、片っ端から本を読んだ

ショップのオープンに対する不安を、菊地さんは全く抱かなかったといいます。なぜなら不安がなくなるまで、たくさん勉強したからです。よって、上手く行く自信に満ち溢れた状態でした。

 

「雇われ店長として実経験を積むだけでなく、とにかく本を読んで、知識をつけました。松下幸之助、船井総合研究所が書いた経営に関する本や、中谷彰宏・堀場雅夫などの自己啓発の本を片っ端から読みました。私は元々、内向的でネガティブな人間です。学生時代には、悩み事で10円ハゲができるほど。しかしお店をオープンさせると決めて『ポジティブじゃないとお客さんがついてこない!』と思い、ジョセフ・マーフィー、斉藤一人、小林正観など、ポジティブな思考力を高める本を読みました。お店をオープンして20年以上たった今でも、本は読むようにしています」

 

菊地さんは昔から勉強が好きで、たくさんの資格をとっています。サーフィンに関する資格だけでなく、第二種電気工事士、高圧ガス製造保安責任者、製造保安責任者、危険物取扱者資格も保有しています。これらの国家資格は、トヨタ車体で働いている時に取ったものです。

 

このように、勉強する癖が昔からついていたことから、自分がショップをオープンする不安がなくなるまで、勉強できたといいます。

新品や中古品のサーフボードが陳列されている

ノーレッジボードチョイスでサーフ・スケートボードを買えば後悔しない

菊池さんが思っていた以上に、ノーレッジボードチョイスは順調にスタートを切りました。オープンした最初の3年間は、ショッピングモールや駅前で菊地さん自らチラシ配りをしたといいます。しかし最初からお客さんに愛され、なんとか店舗経営だけで生活をしていけました。

 

「ノーレッジボードチョイスをオープンする前に雇われ店長として働いていたので、お客さんがついてきてくれました。遡るとトヨタ車体で働いていた時も、カリフォルニアで知り合ったサーフショップのオーナーと組んで、並行輸入販売をしていました。自分で事業を作った経験もあるので、その経験を活かして順調なスタートダッシュが切れました」

 

サーフボードを選ぶ大切さから、菊地さんはノーレッジボードチョイスという店名にしています。店名を直訳すると「ノーレッジ=知識、ボード=サーフボード、チョイス=選ぶ」です。サーフィンを始めた時の苦い思い出から、店名をつけました。

 

「サーフィン始めたばかりの時に、知人の友達からボロボロのサーフボードを6万円で買わされました。さらに、初心者には不向きの板です。全然上手く乗れないし、上達もしませんでした。しかし上級者にアドバイスをもらってサーフボードを変えたら、みるみる上達したのです。その時サーフボードの選び方は、サーフィンを楽しめるかどうかに関わることだと思いました」

 

ノーレッジボードチョイスでは初心者が波に乗れるように、菊地さんがおすすめの初心者用サーフボードを販売しています。サーフボードの種類や長さは、菊地さんのお墨付きです。さらに中級者から上級者には、それぞれのサーフィンスタイルに合わせて、サーフボードをおすすめしてくれます。

 

また、ノーレッジボードチョイスではスケートボードの品揃えも豊富。「海に行かない日もサーフィンの練習をしたい!」というお客様には、サーフィンに近い動きが練習できるサーフスケートボードをおすすめしています。

初心者だけでなくヤングライダーへもレッスンを行う

波に乗れて喜んでいる姿を見るのが一番のやりがい

菊地さんにとって仕事のやりがいは、お客さんにサーフィンの楽しさを実感してもらえた時です。サーフィンを始めた人が、波に乗って喜ぶ姿を見るのが、一番嬉しいといいます。

 

「私は初心者から上級者向けに、サーフィンの指導も行っています。私が主催しているスクールの参加者は、私のお店でサーフボードやウエットスーツを買ってくれた人が中心です。なかなか波に乗れなかった初心者の人が波に乗れて喜んでいるのを見ると『サーフショップをやっていてよかった!』と思います。サーフィンは難しく、始めても辞めてしまう人が多いスポーツです。しかし私のお店で道具を買ってくれた人が、サーフィンの楽しさを実感してサーフィンを続けてくれているのはとても幸せです」

常連さんにはコーヒーも振る舞う

お店に来てくれるお客さんはファミリーだと思って接する

ノーレッジボードチョイスは、アフターサービスが充実しています。ウエットスーツやサーフボードを買ってくれた人は、お店のLINEグループに参加が可能に。そこでは近場の海の波情報や、お得な商品の情報が共有されます。

 

また、ノーレッジボードチョイスでサーフボードとウエットスーツを購入し、継続的にお店に来てくれる人は、菊地さんのサーフレッスンを無料で受けられる特典付きです。

 

「私のお店でサーフボードを買ってくれたからには、お客さんにサーフィンを楽しんでもらう責任が、私にあると思っています。お客さんには『あなたのお店でサーフボードを買ったんだから、私にサーフィンをしっかり教えなさい!』と思ってもらって結構です」

 

お客さんに子供ができたら、キッズスクールに無料で参加させてあげているそうです。菊地さんは、ノーレッジボードチョイスのお客さんをファミリーだと思って接しています。

自分がサーフィンを楽しむことで、サーフィンの楽しさを伝えている

菊地さん自身がサーフィンを楽しみ、お客さんの模範となることで「こうやって波に乗れるようになりたい!」と思われることが、狙いの一つです。

 

 菊地さんは年に一回、サーフィンの大会にも出ています。さらに、サーフィンを楽しみながらレベルアップするために、年に一回はサーフトリップに行きます。

 

「サーフトリップの行き先は、ハワイやインドネシア。お客さんに誘われて行くことも多いです。サーフィンのレベルは上がりますし、お客さんと一緒に行くことで仲間としての親睦が深まります」

 

今年50歳になりますが、アマチュアでは上位を目指している菊地さん。自身がかっこいい姿をみせることで説得力が増し、お客さんとの信頼関係構築にも繋がっています。

お客様の声をNSAで発信し、サーフィンの普及活動に務める

33歳からの2年間、日本サーフィン連盟(NSA)の愛知支部長を務め、今もNSAでの活動を続けている菊地さん。日本サーフィン連盟とは、サーフィンの発展と普及を図りながら、サーフィンを通じて海への関心を高めることを主な目的とした団体です。

 

「サーフィンを健全に普及させるために、日本サーフィン連盟で活動しています。私は、サーフショップの経営者です。なので、お店で聞いたお客さんの声をダイレクトにサーフィン連盟での活動に反映させています。お客さんの困りごとや願いをサーフィン連盟へ発信することで、サーフィンを楽しむ人が増えてくれるのが願いです」

見本となれる自分がいれば、ずっとお店を続けていたい

菊地さんは「自分の人生に大きな影響を与えたサーフィンを一生続けたいし、ショップもできるだけ長くやりたい」と言います。そのためにも、現状維持は必須。今やっていることを疎かにせず、仕事やサーフィンをしています。

 

「私はSNSやブログでほぼ毎日情報発信をしています。なぜならお店に興味を持って、お店やサーフィンを好きになってくれるお客さんを、1人でも増やすためです。私のようにほぼ毎日情報発信しているサーフショップは、愛知県でも少ないと思います」

 

様々な方法を使ってお店を盛り上げている、菊地さん。しかしノーレッジボードチョイスは、いつまで続けるか決めていないようです。

 

「お客さんの模範となれるかっこいい自分がいれば、ずっとお店を続けていきたいと思います。そのため、開業当初に抱いた思いを忘れず、サーフィンや発信活動などの努力を欠かしません」

家族がいたから、がむしゃらに仕事ができた

菊地さんは、今まで奥さんと子供3人のために頑張ってきたといいます。「家族がいなければ、ここまで頑張れなかった」と話していました。特に奥さんには、感謝が尽きないようです。


「子供が全員社会人になったら、今のようなモチベーションを維持することは厳しいと思います。もし多くの時間ができたなら、これまで支えてくれた奥さんとキャンピングカーに乗って旅行しながら、のんびりしたいです」


大好きなサーフィンを好きなだけできる環境を作るために、勤めていた大手企業を辞めた菊地さん。給料だけなら、大手企業に勤めていた方が断然いいでしょう。しかし菊地さんは夢中になれるサーフィンに命をかけ、時間を費やしています。


その結果、菊地さんの周囲には常にサーフィンを通じた仲間がいます。きっとこれからも、菊地さんを慕うサーファーが増えていくでしょう。


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